雷が鳴りそうな夕方
曇りの夕方。ずっと家にいるから、窓全開の部屋のなかから、外の空気を感じる。
ベランダからみえる家の前の森が真っ暗にみえる、暗い夕方。梅雨の夕方。雷が鳴りそうなそんな暗い夕方に、私はのんびりとしている。
久々に大好きな志賀直哉の小説に読み耽る。シナリオを勉強してから、初めてじっくり読んだ気がする。私の中では志賀直哉の世界は、最もシナリオとは違う世界だと思い込んでいたけれど、そうでもない。そういえば、私の大好きな志賀作品のひとつ『赤西蠣太』は伊丹万作監督によって映画化されていたし。私の好きな片倉千恵蔵が主演で。
思い込みってもったいないと思う。なんだかこの1年半、技術を習得しよう腕をあげようと必死になって、自分に足りないものをやけに大切にしていた。技術を習得するまではとにかく吸収しようと、なんとなく自分らしくない世界を需要視していた。どこかではわかっていたけれど、心の奥の叫びはちょっと黙ってもらっていた。面白いもの、興奮するもの、に正直になろう。
私らしい私の好きなシナリオというものをちゃんと考えようと思った。教えられたことを必要以上に解釈して強く思い込んでいてはいけない。物語るということにジャンルはない。私がつくりたいもの。好きなもの。これを大切にしよう。小説でも、脚本でも。描きたいのは人間の心。私の場合。
と、曇りの静かな夕方につくづく思った。


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